アメリカ大統領選挙後の混乱

 大統領選挙投票日からすでに1ヶ月以上が経過しましたが、選挙プロセスに不正の疑惑があるということで、トランプ大統領陣営や保守グループが裁判を起こし、それに並行して選挙結果の認定をめぐって公聴会の場で州議会にアピールを続けているため、12月14日の投票人による大統領選挙の投票が行われるかどうか分からないという前代未聞の状況です。
 大手メディアは、「トランプは司法を自分の利益のために不当に乱用し、国家を混乱させ、国益を著しく損なっている。即刻負けを認めて政権交代の手続きを進めるべき」という論調で対して、ネットを中心とする保守メディアは、「アメリカ民主主義の根幹を揺るがすような大規模な選挙不正が民主党を中心とする勢力によって行われた。トランプ陣営は、この巨悪に戦いを挑んでいる」という論調です。そして、お互いを「民主主義を蔑ろにしている」と攻撃しあっています。
 
 この全く相容れることのない意見の対立を軸に、国家分断の様相を呈しています。発信者であるマスコミや個人が、自信満々でこの両極に分かれる見解を出しているために、一般人は誰でも自分が信じたいニュース、信じたいもの裏付ける情報を見つけることができる状態です。そのため、情報過多で一体何が真実なのか判断するのが難しい状況となっており、この分断をさらに長引かせています。
 
 ということで、できるだけ公聴会の中継や当事者のインタビューや演説などの一次情報に触れ、現状に関して個人的な見解を持つようにしております。もし、トランプ陣営が主張している規模の選挙不正が行われたのであれば、これまでの政治スキャンダルとは比べ物にならない大事件であるし、もしトランプ陣営が大統領の立場を利用して、これほどの大事件をでっち上げ、数百名の支持者に偽証までさせて司法までも巻き込んでいるとしたら、それも大スキャンダルです。いずれにしても、真実が明らかになれば大きな政変が起こることは間違いなく、1860年代の南北戦争、1960年代の公民権運動の時代のような流血も含む国家の混乱期を経験することになるかもしれません。
 
 まず、誰が真実を訴えていて、誰が嘘を言っているのか?真実を語っている側が勝つのか、それとも嘘をついている側が力で白を黒に変えて勝利するのか?現状から将来を予測する事は難しいのですが、トランプ陣営が不正選挙があったという見解をアピールし、その検証を要求するのは合法的な権利ですし、もし民主主義国家で大規模な不正選挙がまかり通るとなると、まさに民主主義の崩壊です。最終的にどちらが勝つかは別問題として、性急に選挙結果を決定するのではなく、数ヶ月の政治的空白というリスクを負ってでも、選挙不正という犯罪が行われたのかどうか、行われたとしたらどの規模で誰によって行われたのか、それは個人的に行われたのかそれとも組織的に行われたのかということが明らかにされる必要があると思っています。
 
 今後の司法判断や各州での議会の対応などを見守りたいと思います。

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