陰謀論との付き合い方

 昨年末のアメリカ大統領選挙、COVID19パンデミック、そして現在進行中の新型ワクチン(新薬)の大規模接種。公正で中立な情報提供に基づく冷静な議論が必要な大きな出来事が続く中、民間会社としての利益追求が最優先する一般メディアやビッグテックを経由して見つかる情報は、ある方向性に向けて偏向/検閲されているのではないかと不信を抱く方が多くなってきました。その反動として、ネットで草の根的に広まる情報と、多くの社会的事象を少数のエリートによる計画的な陰謀に結びつけるいわゆる「陰謀論」が渦巻き、アメリカでは、政治においてもCOVID19パンデミック周辺の事象においても、世論を真っ二つにするような見解の対立が起きています。

 陰謀論に関しては、ほとんどの皆さんは「SF映画やスパイ映画じゃあるまいし、そんなことあるはずないじゃん。」ってな具合に、「子供じみた空想」「頭の悪い連中が信じるたわごと」「変な宗教」として一笑に付してしまいます。

 では、古佐小の陰謀論に対するスタンスはどうかと申しますと、陰謀論は子供の頃から興味を惹かれていて、記事を目にするとついつい細部まで読むことが多く、陰謀論には案外と詳しい部類に入るのではないかと思います。

 情報混乱の時代に突入し、ますますたくさんの陰謀論が語られています。確かに、その中には実際の意思決定には使えないあやふやな情報もたくさんあります。しかし、そこで論拠とされている事実は、一般メディアではあまり表に出ない興味深いものも多く、「陰謀論」と十把一絡げにして排除してしまうにはもったいない情報も含まれています。

 陰謀論の多くは、事実の列挙とそれらを繋ぐ合理的な説明としての組織的陰謀からなっています。この視点から、自分は陰謀論を以下の3種に分けて、その情報価値を評価しています。実際には、これらの組み合わせとして陰謀論が語られることが多いため、そこに含まれる情報価値は、玉石混合となっています。

1)最初から陰謀ありきで、事象を陰謀と結びつけるもの。
2)通常の手法では確認のできない事実を根拠に、陰謀の存在を示唆するもの。
3)過去のメディア発刊物、政府や民間機関からの公開情報を根拠に、それらを結びつける金の動きや人脈から組織的陰謀を示唆するもの。

 情報としてのクオリティーは3)が最も高くなります。結論である陰謀論への賛否はともかく、そこで挙げられる情報には、ある特定の組織や団体にとって、イメージ的にもビジネス戦略的にもあまり知られたくないだろうなと思われるものもあり、一般メディアからは得られない視点からの考察の機会を与えてくれます。
 
 1)と2)は、取るに足らない情報と切り捨てることもできますが、自分は2)にもある程度の価値を置いています。というのも、ベトナム戦争の特殊作戦に参加した退役軍人の義父や、以前付き合いのあったアメリカの民主党の超大物上院議員の親類/側近の弁護士、元下院議員候補の政治家との会話から、その世界にいたら普通に行われているけれど公にはならないウソのような現実が舞台裏で展開されていると確信しているからです。事実の根拠となる情報提供者の素性、情報公開の動機などを吟味することが非常に難しいため、情報の真偽を決定づけることはできないことが多いのですが、質の高い情報が含まれている可能性は大いにあると思います。

 1)は、ある種の陰謀論の可能性に納得した場合、その陰謀論ありきで物事を見たらどのような解釈ができるのかということの参考として活用できます。往々にして発信者が熱くなりすぎてウソ臭くなってしまうことが多いのですが、参考意見として距離を置いて閲覧するという態度で接すれば、新鮮な視点を与えてくれることもあります。

 この非常時に陰謀論は世間を混乱させるけしからんものだ、というご意見もあるかと思います。しかし、言論の自由の表れとして、この非常時だからこそ純粋な気持ちで発信される「陰謀論」(に分類される意見)もあります。自由な言論と活発な議論と慎重な考察により意思決定をすることこそが、自由民主主義のあるべき状態です。非常時だからといって、お上の誰かが密室で決めたことに盲目的に従うことは、むしろ異常です。先入観を捨てて中立な視点から様々な意見に接し、視野を広げながらこの時代を見据えていきたいものです。

 

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