ファームという芸術

 ファームでの生活。この土地に引っ越してきて4年あまり。ここに来る前も、畑や家畜の飼育をやっていましたから、ファームの真似事を始めてから10年ほどになります

 ファームと音楽活動。全く関連性のない活動のようにも見えますが、手段と規模こそ違えども、どちらも芸術であることには変わりはないという認識を持っており組んでいます。

 音楽は、その瞬間と楽曲の継続する数分間という短い時間の中で作られ、その時間が終わると速やかに姿を消してしまう芸術作品ですが、ファームは、何年、何十年という時間のなかで作られ、自然の流れともに進化し、生態系や景観として環境の中に長期間存在できる芸術作品です。

 どちらも、そこに携わる芸術家の価値観と人物像が作品に強く反映される点は同じですが、音楽では、瞬間的な瞬発力のあるインスピレーションを表現でき、ファームでは、長期的な持続力を持つ価値観と生活そのものを表現できます。

 音楽では、音という宇宙の法則に支配された物理現象の法則を学び、そこでの調和を目指した音の構造物をつくりますが、ファームでは、自然の生態系と生命の法則を学び、様々な生命体との調和を保ちつつそこからの恵みを得られる仕組みをつくります。

 音楽家としてファームで暮らしていると、常にクリエイティブであることを強いられます。また、ファームでの作業の大変さや田舎暮らしに伴う不便さのおかげで、常に能力開発を迫られますから、自分自身を資本に仕事をする芸術家にとっては、ファーム+芸術のコンビネーションは、絶妙に素晴らしいと思っています。オススメです。

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