DIYのすすめ

 ファームでは、ほぼ毎日、家屋や道具のメンテやインフラ整備に関する様々な作業をやっています。

 

 土木、建築、上下水道、電気、ガス、自動車、小型エンジンで動くチェーンソーや草刈機などの機械の整備など、もともと興味があってやっていたことは何一つありません。必要に迫られ、知らないことを、よくわからないまま、手に入る情報と自分の判断で失敗しながらとにかくやってみて、実地で身につけるというサイクルで学んできました。

 

 まだまだ知らないこと、できないこともたくさんありますが、根気よくいろんなことにチャレンジしているうちに、一般的なレベルからすると、かなりハードコアなDIYをやるおっさんなってしまいました。こんな風になんでもDIYするのは大変だし、ハーピストとしての本業に何か役立つのかというと、直接ハープ演奏には役立ちません。毎日、夜明けとともに始動して、1日中フルに頭と体を使うので、日が暮れる頃にはクタクタです。時々、なんでこんなしんどいことやってるんだろう、と思います。

 ただ、人間生活の基本である衣食住の「食」(農業で実践しています)や「住」についての知識と実践能力を培うことは、生物としての深い部分での本能的な自信というか、心の安らぎのようなものをもたらしてくれています。この自信と心の安らぎは、単にハープが上手に演奏できるということからくる専門家としての自信や一芸を持っていることからくる心の安らぎとは全く異質のもので、何物にも代えがたい喜びです。また、知らないこと、できないことを頑張って学ぶというプロセスを経験し続けることで、心身を柔軟に保つことができ、このことはクリエイターである音楽家に必要な素養を間接的にサポートすることになります。

 全てのことで本職並みになる必要は全くありませんが、自分の専門分野ばかりを深く掘り下げるだけでなく、生きる上で最も基本的なニーズである「衣食住」に一歩深く関わって、そこでの理解広げていくことで、生活人としての喜びと余裕が生まれてくると思います。

 DIYは、最初一歩を踏み出すのが中々におっくうなのですが、必ず結果が形となって残り、やればやるほど加速度的に理解力が高まるので、苦労は必ず報われます。

 

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